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2016年11月7日(月)

レクチャーコンサート「誰もが弾きたいショパンの人気曲」

at: レポート

11月4日(金)朝日カルチャーセンター新宿教室にて、レクチャーコンサート「誰もが弾きたいショパンの人気曲」が開催されました。

本講座は、ショパンの作品の標題は自身でつけたものではなく、他の誰かがつけたものである、というお話からスタート。
シューマンは出版社の家で生まれたこともあり、音楽においてもとても文学的で、リストは具体的なタイトルがつけられ、内容も大変具体的です。
一方、標題のないショパンの作品は解釈を広く持つことができ、自由なイマジネーションで取り組むことができると考えられます。
そこで菊地は今回の講座のテーマを“楽譜から想像を読み解く”とし、各作品の解説と華麗なる演奏で受講者さまを惹きつけました。

♪ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1
まず、この曲はなぜハ短調で書かれたのかという点について、ショパンの時代のピアノの最低音“C”を使い、奈落の底を表現したかったから。あるいは中間部をハ長調という“真っ白”な調性にしたかったからではないか、と、散りばめられた音や様々なモチーフ(葬送を思わせるモチーフやため息の音形)から、この作品をハ短調にしたことを推測。
この時期のショパンはコラールを多用していたり、3連と4連が対立して絡み合う効果も、他の作品と通じる所があります。
英雄的なものが破滅に向かう形が多いのは、ショパンの境遇によるものであり、作品は“生きた証”と呼ぶべきものであるのだと感じました。

♪バラード 第1番 ト短調 Op.23
輝かしい始まりはfisで一瞬にして崩され、希望が全て消えてしまうイメージを持ち、左手のリズムからは息切れのようで空虚な感覚や苦しさが感じられます。
全ての問いに全て同じ答えが返ってくる虚しさ。しかし湧き出てくる思いがあって、変化するものがある。内声のまとわりつく半音は振り切れず、ずっと付き纏われているよう。
その音形を逆にして、“理想や夢”を表現する場面もあり、“隣の音の持つ意味”を展開しているといえます。
支離滅裂に展開されているわけではなく、一つの象徴が必ずその曲を支配している。それがショパンの特徴でもあるのです。

♪ポロネーズ第6番 変イ長調「英雄」 Op.53
リズムに特徴をもった幅の広いダイナミックな曲であるこの作品。
ここで菊地は「英雄には気高さの要素が欠かせない。“英雄”はエレガントであれ」
と申しました。
この曲はドラマチックで悲劇的なところもあるけれど、全てを払拭していく曲です。
中間部のオクターブの連続は回転方向の違う2種があることに気がつくことで弾きづらさを解決できる等、ショパンは合理的に考えれば必ず弾けるように書いている、と様々な例を取り上げ解説いたしました。

今回の3曲のモチーフ等から思い起こされた曲は数え切れず、様々な曲の断片(エチュード・ソナタ・ファンタジーetc.)を織り交ぜた解説はとても楽しく、笑いが起こる場面も度々ありました。
他の作品と共通することがたくさんあり、瞬間瞬間何かに思わせられることが大事であり、
それらが全ての想像につながり、楽譜から読み解くことができるのである。と実感させられる機会となりました。

☆☆次回、朝日カルチャーセンターでの講座は11月18日(金)19時より☆☆
ご好評いただいております、3回シリーズの第3回「ペダリングの魔法」が開催!
朝カル・詳細
菊地のかける魔法、魔法をかけられたピアノを見にいらっしゃいませんか?
※また、このピアノテクニック講座は応用編の新シリーズ開催が決定いたしました!
日程等、詳細は決定次第お知らせさせていただきますのでお待ちくださいませ♪

(N.K)